現役選手を引退してすぐ、地元にテニススクールを開いたのですが、最初の半年は雨天中止の連絡だけで一日が終わることも珍しくありませんでした。屋外コートしか持っていなかったため、天候に振り回されるたびに、経営というものの厳しさを思い知らされたものです。窓の外の雨を恨めしく眺めながら、これで本当にやっていけるのだろうかと不安になった夜も一度や二度ではありません。
転機になったのは、屋内コートを増設した五年目のことです。天候に左右されずレッスンができるようになったことで、会員数も一気に伸びていきました。ただ、コートが四面に増えると、今度はどのコートで誰が何時から使うのかという管理が一気に複雑になってしまったのです。ホワイトボードに手書きで予定を書き込んでいたのですが、消し忘れや書き間違いが原因で、コートがかぶってしまうトラブルが月に何度も起きていました。会員の方をお待たせしてしまい、頭を下げる場面が続いたことを覚えています。見かねたスタッフの提案で、スクール 予約システムを試しに導入してみたところ、四面のコート状況がリアルタイムで確認できるようになり、あの混乱が嘘のように収まっていきました。特にジュニアクラスと一般クラスが重なりやすい時間帯の調整が楽になったのは、現場としてありがたい変化でした。
開業から十五年が経ち、当時のジュニア会員が今はコーチとして教える側に立っています。雨の日にコートを見つめていたあの頃の焦りが、今の落ち着いた運営の礎になっているのだと感じています。
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