独立して自宅で仕事をするようになって5年になります。最初の2年間は、とにかく目の前の仕事をこなすことに必死で、環境を整えるという発想がありませんでした。机は折りたたみ式、椅子は引越しのときから使っているもの。それでも仕事は回っていたので、不便だとも思っていなかったのです。収入が安定したら環境を整えようと思いながら、結局そのままずるずると時間が過ぎていきました。フリーランスはつい仕事道具への投資を後回しにしてしまいがちですが、私もそのひとりでした。
変化のきっかけは、確定申告の時期でした。毎年この時期だけ、明らかにデスクに向かう時間が増えます。普段は1日4〜5時間のところが、締め切り前の2週間は8〜9時間になる。そのとき決まって右の肩甲骨の内側が痛くなっていて、毎年のことだから仕方ないと思っていました。でもその年は痛みが申告が終わっても抜けなくて、1ヶ月近く続きました。さすがにおかしいと思って、はじめて自分の作業環境を真剣に見直すことにしました。
整骨院の先生に相談すると、「肩甲骨の内側の痛みは、腕の位置が不自然なときに起きやすい」と言われました。つまり、肘の高さが合っていない状態で長時間タイピングしていたということです。改めて確認すると、使っている椅子にはアームレストがなく、デスクの高さに対して座面も少し低かったことがわかりました。腕を宙に浮かせた状態でずっとキーボードを打ち続けていたのだと気づいたとき、5年間何をやっていたのかと少し呆然としました。毎年繰り返していた痛みの原因が、ずっとそこにあったのです。先生には「よく我慢できていましたね」と半ば呆れ気味に言われました。
実際に何種類かのオフィスチェアを試してみると、アームレストがあるだけで肩への感覚がまるで違うことに驚きました。腕の重さを支えてもらえるだけで、肩の余計な力が抜けるのです。さらに高さや角度が細かく調整できるオフィスチェアは、自分の姿勢やデスクの高さに合わせられるので、体が自然な位置に収まる感覚がありました。試座しながら、今まで体に余分な負担をかけ続けていたのだということを改めて実感しました。最終的に選んだオフィスチェアは、アームレストの高さと角度の両方が調整できるタイプで、価格は以前のものの数倍でしたが、迷わず決めました。
使い始めて3ヶ月、肩甲骨の痛みが確定申告シーズンも出ませんでした。毎年のことだと思っていたのに、です。先生にも「腕の位置が安定しているから肩に余計な力が入らなくなっている」と言われて、道具ひとつで体の使い方がこれほど変わるのだと実感しました。
5年間、体で余分なコストを払い続けていたのだと思うと、もう少し早く見直せばよかったという気持ちはあります。ただ、何か不具合が起きるまで気づけないというのも、正直なところ仕方のないことかもしれません。今の環境に少しでも違和感がある方は、その感覚を見過ごさないでほしいと思います。
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